# ロールのネットクレジットとデビット：資金移動は利益ではない

旧オプションの決済と新オプションの建玉がロールのネット Credit／Debit を作る仕組み、過去損益を消さない理由、代替ポジションの評価方法を解説します。

正規 URL: https://wiki.fcontext.com/ja/options/net-roll-credit-debit/
事実確認日: 2026-07-22

> 教育目的のみであり、投資助言ではありません

<a id="answer"></a>

## 直接の答え

オプションの**ロール**は既存オプションを決済し、満期、行使価格、または両方を変えた代替オプションを建てる取引です。ネットクレジットまたはデビットは二つの約定を合成した資金移動にすぎません。

`roll cash flow = cash from new position + cash flow to close old position`

正なら Credit の受取、負なら Debit の支払です。それ自体は利益でも改善の証明でもありません。旧取引は固有の損益を実現し、新取引は新しい曝露、資金拘束、イベント、割当リスクを始めます。

<a id="mechanism"></a>

## 三つの帳簿

**旧ポジション損益**は実際の開始・決済資金と費用を比較します。決済で結果が実現し、新プレミアムが過去約定を変えることはありません。

**ロール当日資金移動**は Buy to Close と Sell to Open、または Sell to Close と Buy to Open を合算し、即時の現金だけを説明します。

**新ポジションの経済性**は代替オプションの約定価格から始まります。最大損益、分岐点、Greeks、購買力、満期、流動性、イベント、行使方式、出口を新規取引として評価します。

Cboe は複合注文が指定ネット価格とレッグ比率の範囲で執行されると説明しています。一つの複合指値でロールすればパッケージ資金を管理しレッグ間の時間を短縮できますが、会計結果を統合せず Mid 約定も保証しません。

<a id="example"></a>

## 損失を消さない Credit

$50 Put を一枚 $2.00 で売り $200 を受け取った後、株価下落で $6.00 で買い戻すと旧損益は：

`close old short call: -$6.20 × 100 = -$620`

です。同時に翌月 $45 Put を $7.00 で売ると当日資金移動は：

`sell new short call: +$8.10 × 100 = +$810`

つまり $1.00 Credit です。それでも記録は旧損失 $400 と、新規 $700 の Short $45 Put に分けます。新 Put が無価値満期なら系列合計は −$400+$700=$300、割当や損失決済ならそれ以下です。

Debit に合理性がある場合もあります。Covered Call の $50 Call を買い戻し、後の $55 Call を売って $1.20 Debit を払うとします。最終的に $55 超で株式が売却されれば行使価格上昇で一株 $5.00 増え、Debit 控除後の増分は $3.80 です。ただし株式下落曝露を長く保ち、新たなイベントと配当日をまたぎます。

<a id="risks"></a>

## ロール判断の確認項目

- 実約定、乗数、数量、手数料で旧取引の実現損益を別計算する。
- 決済レッグと新規レッグの売買、開閉、行使価格、満期、数量、比率、受渡しを明記する。
- Pay/Debit か Receive/Credit かをプレビューで確認する。
- 同時置換とネット価格管理が必要なら複合指値を使う。
- 撤退ネット価格を決め、Mid 約定を前提にしない。
- 旧建玉がなくても代替取引をするか問う。過去損失は新リスクを取る理由ではない。
- 新規最大損益、分岐点、担保、証拠金、Greeks を再計算する。
- Credit が時間延長、不利な行使価格、ボラティリティ曝露、リスク拡大のどれから来たか確認する。
- Debit が有利な行使価格、リスク削減、保護、それとも高価な時間を買うか確認する。
- 新満期がまたぐ決算、配当、企業行動、経済発表を確認する。
- 米国型ショートは行使可能期間中の割当を想定する。
- ロール、決済のみ、何もしないを現在から先で比較する。
- 日誌では毎回を旧決済と新規建玉に分け、系列合計も維持する。
- 部分約定を照合し残注文を取り消す。
- Bid/Ask、費用、税務、担保機会費用を含める。
- 新ポジションの出口、再ロール、行使、割当、満期処理を先に決める。

<a id="misconceptions"></a>

## よくある誤解

- 「Credit はロール利益である。」即時資金移動であり総損益ではありません。
- 「Credit が過去損失を回収した。」旧損失は実現し、新ショート義務が加わります。
- 「Debit ロールは常に悪い。」有利な行使価格やリスク低下を買う場合があります。
- 「ロールで損失確定を避けられる。」一取引を終了し別取引を開始します。
- 「時間を増やせば必ず回復する。」曝露とイベントも増えます。
- 「Short Put を下へロールすれば全リスクが減る。」期間と下落・割当リスクは残ります。
- 「Covered Call を上へロールすれば無料で上値が増える。」Debit と追加保有リスクがあります。
- 「調整後原価だけで十分。」各判断の実現・未実現結果を隠すことがあります。
- 「満期まで待つのが効率的。」Gamma、スプレッド、割当、流動性が悪化し得ます。
- 「必ず再建しなければならない。」代替が悪ければ決済だけも選択肢です。

<a id="related"></a>

## 関連トピック

- [Covered Call のロール](/ja/options/covered-call-roll/)
- [Cash-Secured Put のロール](/ja/options/cash-secured-put-roll/)
- [割当リスク](/ja/options/assignment-risk/)
- [複数レッグ注文の価格調整](/ja/options/multileg-order-price-adjustment/)

<a id="sources"></a>

## 一次資料

- [Cboe：米国オプション複合板プロセス](https://www.cboe.com/document/tech-spec/document/technical-specifications/cboe-titanium-u.s.-options-complex-book-process)
- [OIC：オプション用語 Debit](https://www.optionseducation.org/ReferenceLibrary/optionsglossary?filter=D)
- [OIC：戦略 FAQ](https://www.optionseducation.org/referencelibrary/faq/strategies)
- [OCC：標準化オプションの特性とリスク](https://www.theocc.com/company-information/documents-and-archives/options-disclosure-document)