# SABRモデル：Alpha、Beta、Rho、Nu、較正とモデルリスク

SABR確率的ボラティリティモデル、Alpha・Beta・Rho・NuがIVスマイルを形作る仕組み、Hagan近似の較正と検証を解説します。

正規 URL: https://wiki.fcontext.com/ja/options/sabr-model/
事実確認日: 2026-07-22

> 教育目的のみであり、投資助言ではありません

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## 端的な答え

**SABRモデル**は、フォワード `F_t` とボラティリティ水準 `α_t` がランダムに動き、両ショックが相関する確率的ボラティリティモデルです。少数の解釈しやすいパラメータでIVスマイルを表し、スマイルに整合する価格と感応度を生成します。

SABRは一つの万能なボラティリティ面ではありません。通常、各満期または金利オプションの満期・テナーごとに、Black、Normal、Shiftedの方式で較正します。一般的なHagan IV式はモデルの漸近近似であり、厳密価格でも全行使価格・満期で自動的に無裁定でもありません。

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## 動学とパラメータ

価格測度での古典的フォワードSABRは：

`dF_t = α_t F_t^β dW_t¹`

`dα_t = ν α_t dW_t²`

`d⟨W¹,W²⟩_t = ρ dt`

現在 `α > 0`、通常 `0 ≤ β ≤ 1`、`ν ≥ 0`、`−1 < ρ < 1` です。

- **Alpha（`α`）**は現在のボラティリティ尺度ですが、通常ATM IVそのものではありません。
- **Beta（`β`）**は弾力性で、`β = 1` は対数正規型、`β = 0` は正規型、中間はCEV尺度です。
- **Rho（`ρ`）**はフォワードとボラティリティのショックを相関させ、非対称性に強く影響します。
- **Nu（`ν`）**はボラティリティのボラティリティで、上昇すると一般に曲率が強まります。

役割は独立ではありません。AlphaとBetaはATM周辺、RhoとNuは限られた行使価格範囲で互いに補償できます。Betaを固定・強く制約し、残りを較正する実装が多くあります。誤差が小さくてもパラメータ識別や将来動学を証明しません。

Black方式SABRのATM直感は：

`ATM Black IV ≈ α / F^(1−β)`

満期補正には全パラメータが入ります。ゼロ近辺・負のフォワードにはNormal SABRが使われます。Shifted SABRは `F` と `K` に変位を加え、その変位も動学・尾部を変えるモデルパラメータです。

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## パラメータ尺度の例

フォワード `F = 100`、満期 `T = 1 year`、固定 `β = 0.50`、`α = 2.00` とします。ATM先頭近似は：

`ATM IV ≈ 2.00 / 100^(1−0.50) = 2.00 / 10 = 20.00%`

フォワードが `81` に下がりAlphaが `2.00` のままなら：

`2.00 / 81^0.50 = 2.00 / 9 = 22.22%`

`β < 1` ではAlpha一定でもATM IVは一定ではありません。単位やBetaが違う資産間のAlpha比較も通常無意味です。

同じ `F`、`T`、`β`、`α` で二設定を比較します。

| 設定 | `ρ` | `ν` | 典型的な定性的効果 |
| --- | ---: | ---: | --- |
| A | `−0.20` | `0.30` | 穏やかな負スキューと曲率 |
| B | `−0.70` | `0.80` | 急な下方スキューと強い曲率 |

条件付きの説明で価格保証ではありません。実際の行使価格で選択したBlack/Normal式を評価し、IV誤差を価格へ変換し、外挿を確認します。Bが観測節点に合っても遠い翼で不安定・非現実的になり得ます。

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## 較正・検証チェックリスト

- 原資産、フォワード構築、割引、満期、テナー、決済、気配方式を固定する。
- 同時刻Bid/Askを清掃し、流動性重みと除外理由を保存する。
- Black、Normal、Shiftedを明示選択し、ボラティリティ単位を混ぜない。
- 根拠を記してBetaを固定・制約し、代替Betaで再評価する。
- `α > 0`、`ν ≥ 0`、Rhoの安全な内部境界を強制する。
- 複数初期値で局所解、共分散、日次ジャンプを調べる。
- 目的に応じ価格またはVega加重誤差を使い、無加重IVを惰性で使わない。
- ATM、下翼、上翼、Bid/Ask包含を別々に報告する。
- 標本内残差だけでなく、leave-one-out・標本外を行う。
- スマイルを価格に戻し、行使価格の単調性・凸性を確認する。
- 独立較正した満期間のカレンダー整合性を確認する。
- 長期、高Nu、極端Rho、遠い行使価格でHagan近似を高精度数値法と比較する。
- Alpha、Beta、Rho、Nu、フォワード、シフト、金利、相関を共同ストレスする。
- 市場データ、式版、目的関数、境界、ソルバー、初期値、時刻を保存する。

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## よくある誤解

- 「SABRは厳密な閉形式価格モデルだ。」一般式は漸近IV近似です。
- 「AlphaはATM IVだ。」フォワード尺度、Beta、満期、Rho、Nu補正に依存します。
- 「Rhoは過去の価格・IV相関だ。」オプション価格から較正するリスク中立パラメータです。
- 「Nuは翼だけを制御する。」相互作用によりATMやヘッジ感応度にも影響します。
- 「Betaは常に自由推定できる。」Alpha-Beta共線性が不安定性を生みます。
- 「スマイルが完全に合えばヘッジも正しい。」同じバニラ断面に合う異なる動学がエキゾチックを違ってヘッジします。
- 「NormalとBlack IVは同じ百分率だ。」単位と価格方式が異なります。
- 「Shifted SABRは無償で負金利を解決する。」変位は尾部に影響する追加構造仮定です。
- 「IVが正なら無裁定だ。」価格曲線は凸性・カレンダー条件に違反し得ます。
- 「一較正が全面を表す。」独立スライスは満期・テナー間で不整合になり得ます。

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## 関連トピック

- [Dupire局所ボラティリティ](/ja/options/dupire-local-volatility/)
- [局所ボラティリティモデル](/ja/options/local-volatility-model/)
- [インプライド・ボラティリティ](/ja/options/implied-volatility/)
- [オプション・モデルリスク](/ja/options/option-model-risk/)

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## 出典

- [Haganほか：スマイルリスクの管理](https://www.next-finance.net/IMG/pdf/pdf_SABR.pdf)
- [Obloj：スマイルの微調整——Haganほかへの修正](https://arxiv.org/abs/0708.0998)
- [Fukasawa：インプライド・ボラティリティの漸近的無裁定近似](https://arxiv.org/abs/2201.02752)
- [Choi and Seo：ガウス求積によるNormal SABRモデルのオプション価格評価](https://arxiv.org/abs/2301.02797)