教育目的のみであり、投資助言ではありません。投資では損失が生じる可能性があります。
端的な回答
本稿でいうプット・ラダーは、K₁ のプットを一枚買い、K₂ と K₃ のプットを各一枚売るポジションです。K₁ > K₂ > K₃、比率は +1/−1/−1 で、原資産、満期、権利行使方式、決済方式、乗数、受渡し内容は同一とします。ベア・プット・スプレッドに、さらに低い権利行使価格のショート・プットを加えたものです。
建玉時の符号付きデビット D は、純デビットなら正、純クレジットなら負と定義します。追加のショート・プットは当初デビットを減らし、クレジットに変えることもありますが、K₃ より下ではパッケージ全体が経済的にプット一枚のネット・ショートとなり、原資産が一単位下がるごとに満期利益も一単位減ります。株価の下限をゼロとすれば損失は有限ですが、非常に大きくなり得ます。
名称は標準化されていません。Options Industry Council のショート・レシオ・プット・スプレッドは二枚のショートを同じ権利行使価格に置き、ショート側を別々の価格に分ける形を Christmas-tree の変型としています。プラットフォームによっては、この変型や下方を限定した四本脚を「プット・ラダー」と呼びます。損益を決めるのは名称ではなく、符号付きの各脚です。
2026-08-22 時点の事実確認に基づき、契約例と口座の説明は、米国取引所に上場する標準・未調整の株式または ETF オプションを証券口座で取引する場合に限定します。通常はアメリカン方式、現物決済で、一枚当たり 100 株です。現金決済の指数オプション、先物オプション、OTC、調整後の受渡し、米国外の規則、証券会社独自またはポートフォリオ証拠金は異なり得ます。本稿は個別の投資・法律・税務・会計助言ではありません。最新の契約仕様、口座契約、適用法を確認してください。
満期損益の区分式
パッケージ数量を Q、実際の乗数を M、原資産一単位当たりの符号付きデビットを D とすると、費用控除前の満期利益は Q×M×[max(K₁−S_T,0) − max(K₂−S_T,0) − max(K₃−S_T,0) − D] です。一単位当たりの各区分は次のとおりです。
S_T ≥ K₁:利益は−D。K₂ ≤ S_T < K₁:利益はK₁ − S_T − D。上側の損益分岐点候補はK₁ − D。K₃ ≤ S_T < K₂:利益は台地状のK₁ − K₂ − D。0 ≤ S_T < K₃:利益はK₁ − K₂ − K₃ + S_T − D。下側の損益分岐点候補はK₂ + K₃ − K₁ + D。
損益分岐点は、導出した区分内にあるかを確認する必要があります。0 < D < K₁ − K₂ なら上側の根は正しい区分に入ります。下側の根が有効なのは 0 ≤ K₂ + K₃ − K₁ + D < K₃ の場合だけです。下側候補が 0 未満なら、株価が非負の範囲には下側の損益分岐点も株価ゼロでの損失もありません。クレジット建玉では上側分岐点が消えることがあり、デビットが K₁ − K₂ 以上なら正の台地利益がなくなります。
満期前は、現値、インプライド・ボラティリティ、スキュー、時間、金利、配当、流動性への感応度が脚ごとに異なります。満期損益図から、途中の損益、追証、割当キャッシュフロー、実際に約定可能な手仕舞い価格を予測することはできません。
100/95/90 プット・ラダー
株価が 100 近辺とします。100 プットを一枚買い、95 プットと 90 プットを各一枚売り、符号付きデビット D=1.00 を支払います。Q=1、標準乗数 M=100 の場合、費用控除前の満期結果は次のとおりです。
| 満期の株価 | 一株当たりオプション損益 | 一株当たり利益/損失 | ポジション利益/損失 |
|---|---|---|---|
110 または 100 |
0 |
−1 |
−$100 |
99 |
1 |
0 |
$0 |
95 |
5 |
4 |
+$400 |
90 |
5 |
4 |
+$400 |
86 |
1 |
0 |
$0 |
80 |
−5 |
−6 |
−$600 |
0 |
−85 |
−86 |
−$8,600 |
ここでは 0 < D < K₁−K₂ で、候補の 99 と 86 は正しい区分にあります。最大満期利益は一株当たり 4.00、すなわち $400 で、90 ≤ S_T ≤ 95 の全域にわたります。株価ゼロでは一株当たり 86.00、すなわち $8,600 の損失です。したがって、建玉デビット $100 は下方リスクの尺度ではありません。
ロング・プットのアスクが $6.20、二本のショート・プットのビッドが $3.10 と $1.30 で、複合注文が $1.80 のデビットで約定したとします。脚別の保守的なデビットも $6.20−$3.10−$1.30=$1.80 ですが、現金となるのは実際のパッケージ約定だけです。M=100 なら、手数料と取引所費用前の建玉総額は $180 です。仲値は約定ではなく、価格改善も保証しません。
リスクと実行のチェックリスト
- 正確なシリーズ、プットの方向、
+1/−1/−1数量、共通満期、権利行使方式、決済、乗数、受渡し、通貨、企業行動調整を確認する。 - 符号付き
Dを一貫して記録し、価格区分を検証せず代数上の損益分岐点を報告しない。 S_T=0とK₃未満をストレステストする。ベア・プット・スプレッド一組で相殺できるショートは二枚中一枚だけである。- 一方または両方のショート・プット割当に備え、現金と購買力を確保する。規制証拠金と社内証拠金は担保規則であり、最大損失ではない。
- 独立または一部割当をモデル化する。米国の標準株式ショート・プット一枚の割当で
100株のロングが生じても、他のオプションは残り得る。 - 両方のショート権利行使価格について、満期、自動権利行使、反対指図、ピン・リスク、時間外変動、証券会社の締切を計画する。
- 複合指値注文を使い、全約定を保存する。脚別執行は裸のショート・プットを残し得て、表示仲値で取引できるとは限らない。
- ライフサイクル損益に、手数料、取引所費用、スプレッド、スリッページ、ボラティリティとスキューの変化、資金調達、配当、税を含める。
- 権利行使、割当、手仕舞いの都度、最終数量、株式、権利行使代金、費用、証拠金、税務ロットを口座記録で照合する。
- さらに低いプットを買えば下方を限定できるが、費用、根、契約リスクが異なる四本脚になる。
よくある誤解
- 「プット・ラダーは常に同じ取引だ。」 名称は一定せず、正確な符号付きの脚と契約項目が権利義務を定める。
- 「損益分岐点は必ず二つある。」 各候補根は導出区分と非負価格範囲に入る場合だけ有効である。
- 「ベア・プット・スプレッドを含むのでリスクはデビットまでだ。」 追加のショート・プットが深刻な下方エクスポージャーを再び開く。
- 「クレジット建玉なら安全だ。」 小さなクレジットと株価ゼロでの巨額損失は両立する。
- 「ロング・プット一枚がショート二枚を自動でカバーする。」 相殺できるのは最大一枚相当で、自動行使もされない。
- 「満期損益図が今日の損益を予測する。」 途中価値、約定可能価格、割当現金、証拠金は市場と口座条件にも左右される。
関連トピック
権威ある情報源
- Short Ratio Put Spread - ベア・プット・スプレッドとショート・プットへの分解、株価ゼロでの重大損失、ボラティリティ、割当を説明するが、ショート二枚は同一価格であり、本稿の三価格の名称や式を裏づけない。
- Bear Put Spread - 上側の有限リスク垂直スプレッドとデビット損益を説明し、残る低いショート・プットは対象外。
- Naked Put (Uncovered Put, Short Put) - 株式ショート・プットの有限だが重大なゼロ価格損失、割当、流動性、証拠金リスクを説明し、個別ポートフォリオの相殺は扱わない。
- Complex Order Handling - Cboe の複合注文簿とオークション、価格改善の可能性を説明するが、約定や全証券会社共通の手順は保証しない。
- Characteristics and Risks of Standardized Options - 上場オプションの権利義務、スプレッド、行使、割当、調整、裸の売りリスクを説明し、適合性や個別助言は扱わない。
- Equity Options - 標準
100株乗数、現物決済、アメリカン方式、裸の売りの最低証拠金を示す。調整契約と社内規則は異なり得る。 - Options - 米国リテール口座の承認と、株式・ETF・現金決済指数オプションの違いを説明し、本ラダー固有の損益は扱わない。
- Trading Options: Understanding Assignment - 多脚ポジションの早期・単独割当の結果を説明し、割当予測やロング脚の自動処理ではない。
- 4210. Margin Requirements - 米国ブローカー・ディーラーの規制証拠金枠組みであり、口座資格、社内証拠金、最大損失を保証しない。