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プット・ラダー:緩やかな下落益と急落リスク

教育目的のみであり、投資助言ではありません

本稿の プット・ラダー は、同じ満期で権利行使価格が順に低い3本のプットです。K₁ を1枚買い、K₂ を1枚売り、K₃ をもう1枚売ります(K₁ > K₂ > K₃)。ベア・プット・スプレッドに、さらに低い権利行使価格のショート・プットを加えた形です。

追加の売りは建玉コストを下げ得ますが、ベア・スプレッドの限定損失を失わせます。中程度の下落では利益を得られる一方、最安権利行使価格より下では原資産が1ドル下がるごとに価値が1ドル減ります。株価の下限をゼロとすれば損失は大きいものの有限で、無限ではありません。

「プット・ラダー」の名称は完全には統一されておらず、売買方向を逆にしたり4本構成を指したりする場合があります。名称ではなく、各レッグの符号付き枚数、権利行使価格、満期、決済方法、純プレミアムを確認します。

K₁ プット1枚買い、K₂K₃ プット各1枚売り、純支払額を D とすると、満期の1株当たり利益は次です。

Π(S_T) = max(K₁−S_T,0) − max(K₂−S_T,0) − max(K₃−S_T,0) − D

  • S_T ≥ K₁:全レッグが無価値で満期となり、損失は D
  • K₂ ≤ S_T < K₁:下落につれて利益が増え、上側損益分岐点は K₁ − D
  • K₃ ≤ S_T < K₂:最初の垂直スプレッドが最大価値となり、最安プットはアウト・オブ・ザ・マネー。利益は K₁ − K₂ − D
  • S_T < K₃:利益は K₁ − K₂ − K₃ + S_T − D。さらに1ドル下がるごとに1ドル減り、下側損益分岐点は K₂ + K₃ − K₁ + D

分岐点は D が支払額で、結果が該当区間にある場合の式です。純受取なら D を負数として代入します。満期前はボラティリティ、スキュー、時間、金利、配当、実際の気配値により評価損益が満期図から大きくずれます。

株価が 100 付近とします。100 プットを1枚買い、9590 プットを各1枚売り、純支払額を 1.00 とします。標準の100株乗数、手数料前の満期結果は次の通りです。

満期株価 1株当たりオプション価値 1株当たり純損益 ポジション損益
110 または 100 0 −1 −$100
99 1 0 $0
95 5 4 +$400
90 5 4 +$400
86 1 0 $0
80 −5 −6 −$600
0 −85 −86 −$8,600

損益分岐点は上側 99、下側 8690 から 95 の全域で最大満期利益は1株 4.00、合計 $400 です。株価ゼロでは最大損失が1株 86.00、合計 $8,600 になります。建玉時の支払いが $100 でも、経済的リスクが小さいとは限りません。

  • 3本の売買方向、共通満期、契約乗数、注文が支払いか受取りかを確認します。
  • ゼロと K₃ を大幅に下回る価格をストレステストします。ロング・スプレッドは K₁ − K₂ で頭打ちですが、追加の売りは損失を増やします。
  • いずれかのショート・プットの割当に備え、現金と買付余力を確保します。証拠金規則は最大損失を示しません。
  • 米国型株式プットは満期前にも割当があり、株式と当初とは異なる残存オプションを生じさせます。
  • 通常取引終了後の行使判断も含め、2つの売り権利行使価格付近の満期・ピンリスクを計画します。
  • 複合指値注文を使います。別々の約定は一時的な裸のプット売りを生み、仲値で約定できる保証もありません。
  • 満期前の手仕舞い計画には手数料、スプレッド、ボラティリティ・スキュー、証拠金変化を含めます。
  • さらに低いプットを買えば下落損失を限定できますが、コストと分岐点の異なる4本構成になります。
  • 「プット・ラダーは常に同じ取引だ。」名称は一定でなく、エクスポージャーは各レッグで決まります。
  • 「ベア・プット・スプレッドを含むので損失限定だ。」追加の売りが下落リスクを再び開きます。
  • 「受取で始めれば安全だ。」小さな受取額でもゼロ付近で大損失になり得ます。
  • 「最大利益は1価格だけだ。」この1:1:1構成では K₃ から K₂ の区間全体です。
  • 「高いプット1枚が売り2枚をカバーする。」全権利行使価格より下では完全には相殺できません。
  • 「満期図が今日の損益を予測する。」途中の価値はボラティリティ、時間、金利、配当、流動性にも左右されます。