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クリスマスツリー・スプレッド:名称より先に各レッグを定義する

+1/-3/+2 コールのクリスマスツリーについて、符号付きエントリー資金、不均等なストライク幅、有効な損益分岐点の範囲、執行可能なパッケージ価格、アサインメント管理を分析します。

更新日

教育目的のみであり、投資助言ではありません。投資では損失が生じる可能性があります。

要点

クリスマスツリー・スプレッド」は標準化されたレッグ構成を指す名称ではありません。CME はこの名称を、採用する権利行使価格が等間隔の +1/−3/+2 構造に用いたことがある一方、The Options Institute の名を付した Fidelity のページでは、一つの権利行使価格を飛ばす構造を説明しています。本稿が分析するのは、特定のロング・コール型です。すなわち、権利行使価格 K₁ のコールを1枚買い、K₂ のコールを3枚売り、K₃ のコールを2枚買います。ここで K₁ < K₂ < K₃ であり、原資産、満期、権利行使方式、決済方法、乗数、受渡対象はすべて同一とします。

原資産1単位当たりの符号付きエントリー・キャッシュフローを D とし、D > 0 はネット・デビット、D < 0 はネット・クレジットを表すものとします。また、w₁=K₂−K₁w₂=K₃−K₂ とします。1単位当たりの満期利益は Π(S_T)=max(S_T−K₁,0)−3max(S_T−K₂,0)+2max(S_T−K₃,0)−D です。この値に実際の乗数 M とパッケージ数量 Q を掛け、さらに手数料を差し引きます。

各領域の傾きは 0/+1/−2/0 で損益は有限ですが、両テールが等しいとは限りません。下側テールの利益は −DK₂ におけるピークは w₁−D、上側テールの利益は w₁−2w₂−D です。一般的なストライク飛ばしの配置では w₁=2w₂ となり、両テールはともに −D です。等間隔の配置では w₁=w₂ となり、上側テールがより大きなマイナスになります。名称、損失が有限であること、ブローカーの証拠金額のいずれも、正確なレッグ構成とライフサイクルの確認に代わるものではありません。

分析と管理の手順

  1. 計算前に型を確定します。各レッグの符号付き枚数、オプション種類、権利行使価格、満期、権利行使方式、決済方法、乗数、受渡対象、通貨、調整内容、パッケージ数量を記録し、「クリスマスツリー」という名称から推測してはいけません。
  2. 執行可能なエントリー台帳を作ります。複合注文の実際の約定価格、または買いレッグのアスクと売りレッグのビッドを使用します。D はデビットを正、クレジットを負と定義し、委託手数料と取引所手数料はプレミアムと分けて記録します。
  3. 満期時の4領域を導出します。S_T≤K₁ では −DK₁<S_T≤K₂ では S_T−K₁−DK₂<S_T≤K₃ では −2S_T+3K₂−K₁−DS_T>K₃ では w₁−2w₂−D です。
  4. 各根が、それを導出した領域内にあるか検証します。下側損益分岐点の候補 K₁+D が有効なのは 0≤D≤w₁ の場合だけです。上側候補 K₂+(w₁−D)/2 が有効なのは w₁−2w₂≤D≤w₁ の場合だけです。領域内部に根が二つ存在するのは max(0,w₁−2w₂)<D<w₁ の場合に限られます。
  5. 満期時の最大損失額を非負値として L_max=max(0,D,D−w₁+2w₂) で計算し、すべての結果を M×Q 倍します。契約上の満期損益と、手数料、証拠金、途中で生じる株式エクスポージャー、強制決済は区別します。
  6. 満期前には、原資産価格、各権利行使価格のボラティリティとスキューへの個別ショック、時間経過、金利、配当、借株費用、気配幅を反映して全面的に再評価します。デルタ、ガンマ、シータ、ベガは局所的なモデル感応度であり、満期損益図でも約定保証でもありません。
  7. 執行とライフサイクルの管理策を事前に定めます。利用可能ならパッケージの指値注文を優先し、一部約定とレッグ取引のリスクに上限を設け、早期・一部アサインメントを整理します。売却と権利行使を比べる際は執行可能な時間価値を失わないようにし、約定、オプション、株式、権利行使資金、決済資金、借株、配当、手数料、証拠金、税務記録を照合します。

計算例

  • 採用する権利行使価格が等間隔でも損益は非対称です。 K₁=100K₂=105K₃=110D=1.00M=100 とすると、w₁=w₂=5 です。下側テールの利益は1株当たり −$1.00105 におけるピークは +$4.00、上側テールの利益は −$6.00 です。有効な損益分岐点は 101107 であり、1パッケージの手数料控除前の下側損失は $100、ピーク利益は $400、上側損失は $600 です。
  • ストライク飛ばしの幅で両テールを等しくできます。 K₁=100K₂=108K₃=112D=1.50M=100 とすると、w₁=8w₂=4 であるため w₁=2w₂ です。両テールは1株当たり −$1.50、ピークは +$6.50、有効な損益分岐点は 101.50111.25 です。手数料控除前の満期最大利益は $650、最大損失は $150 であり、この結果には採用する権利行使価格の不均等な間隔が不可欠です。
  • ネット・クレジットでも上側テールに損失が残る場合があります。 K₁=100K₂=106K₃=110D=−0.75M=100 とすると、下側テールの利益は +$0.75、ピークは +$6.75、上側テールの利益は −$1.25 です。代数上の下側候補 99.25 は該当領域の外にあるため、損益分岐点ではありません。有効な損益分岐点は 109.375 だけで、エントリー時にクレジットを受け取っても満期最大損失は $125 です。
  • 執行可能価格とアサインメントは別々の台帳が必要です。 100 コール1枚をアスク 4.20 で買い、105 コール3枚をビッド 1.65 で売り、110 コール2枚をアスク 0.55 で買うとします。このとき D=4.20−3×1.65+2×0.55=0.35、グロス・デビットは $35 です。6枚の契約に1枚当たり $0.65 がかかるため、エントリー費用込みの支払額は $38.90 です。S_T=105 ならエントリー手数料控除後の利益は $461.10S_T=108 なら −$138.90、上側テールでは −$538.90 です。アメリカン型の 105 コール3枚がすべてアサインされると、口座は $31,500 を受け取り、300 shares の株式ショートになります。100 コール1枚を権利行使すると 100 shares を取得するために $10,000 を支払い、−200 shares110 コール2枚が残ります。現物価格が 108 の場合、株式と本源的価値の台帳は −$100 で一致しますが、早期権利行使では時間価値を失う可能性があり、時点差から借株、配当、ギャップ、証拠金の各リスクも生じ得ます。

リスクと執行のチェックリスト

  • 戦略名には曖昧さがあるものとして、符号付き比率と採用・不採用のすべての権利行使価格を確認します。
  • 全レッグが同じ原資産、または経済的に整合する請求権を参照していることを確認します。
  • 権利行使価格の順序と、幅 w₁w₂ がともに正であることを確認します。
  • 満期日と最終取引日の時間軸を一致させます。ダイアゴナルは別の構造です。
  • 権利行使方式と決済種類を分けて確認します。
  • 現物受渡と現金決済を区別し、該当する場合は公式決済値を使用します。
  • 乗数、受渡対象、通貨、企業行動によるすべての調整を確認します。
  • D の符号規則を明示します。本稿の規則ではクレジットは負です。
  • 該当する委託手数料、取引所手数料、権利行使手数料、アサインメント手数料、税金を含めます。
  • 導出元の区分領域から外れる損益分岐点の根は採用しません。
  • 両テールを計算します。K₃ より上で契約の純枚数がゼロでも、両テールが等しいとは限りません。
  • 満期損失が有限でも、プレミアム、流動性、口座純資産に比べて大きい場合があります。
  • 古い気配、逆転した気配、時点の異なるレッグの気配を除外し、仲値を執行可能価格とみなしません。
  • 利用可能な複合注文板とブローカーが、正確な比率と注文種類に対応するか確認します。
  • 一部約定とレッグ取引のリスクに上限を設け、裸のショート・コールや異なる比率を残さないようにします。
  • ビッド・アスク幅、板の厚み、スリッページ、取消遅延、パッケージ全体の決済費用をストレステストします。
  • アメリカン型ショート・コールの早期または一部アサインメントを各契約ごとにモデル化します。
  • 配当落ちの時点、執行可能な時間価値、借株、支払配当、強制買戻しのリスクを監視します。
  • ピン・リスク、時間外変動、売買停止、自動権利行使、反対指示、ブローカーの締切時刻に備えます。
  • 満期損益図だけでなく、一時的な株式、権利行使資金、決済資金、証拠金、強制決済、照合、税務の各リスクに合わせて規模を決めます。

よくある誤解

  • 「クリスマスツリー」という名称だけでレッグと損益が一意に決まる。
  • リスク限定なら両テールが等しい、または損失が小さい。
  • ネット・クレジット、または3枚のショート・コールなら損失は起きない。
  • 代数上の二つの損益分岐点は、あらゆるデビット、クレジット、ストライク間隔で有効である。
  • ロング・コールがショート・コールのアサインメントと自動的に連動し、株式、執行、資金のリスクをなくす。

関連トピック

参考資料

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