現金決済オプションの満期:決済値、乗数、キャッシュフロー
教育目的のみであり、投資助言ではありません
現金決済オプションは原資産を受け渡さず、本源的価値を現金で受払いします。指数は口座で受渡しできる資産バスケットではなく計算値なので、指数オプションでよく使われます。
公式最終決済値を S_settle、行使価格を K、乗数を M とすると:
Long Call 現金受取 = max(S_settle - K, 0) × M
Long Put 現金受取 = max(K - S_settle, 0) × M
対応する Short は同額を支払います。株式受渡しがなくても、市場損失、プレミアム損失、証拠金、決済価格の不確実性は残ります。
画面価格ではなく公式値が決める
Section titled “画面価格ではなく公式値が決める”最終値は契約仕様で定義され、構成銘柄の始値、終値、特別始値、オークション等を使います。最後の指数表示、ETF、先物、取引停止時点、ブローカー推定値とは異なり得ます。
AM と PM は計算方式
Section titled “AM と PM は計算方式”AM は通常寄付き入力、PM は通常引け入力を使います。しかし名称だけでは最終取引時刻、観測手順、公表時刻、行使方式、現金計上日を決められません。AM 決済では構成銘柄の価格が判明する前にオプション取引が終了することがあります。
現金決済とヨーロピアン型行使は別条件です。各シリーズで行使方式、最終取引日時、満期、乗数、決済シンボル、最終値手法、ブローカー処理を確認します。
決済額は利益ではない
Section titled “決済額は利益ではない”Long 満期純損益 = 現金受取 - 支払プレミアム - 費用
Short 満期純損益 = 受取プレミアム - 現金支払 - 費用
高く買えば大きな受取でも利益は小さく、Short は株式を渡さなくても大きな現金支払を負います。
例1:画面終値と公式値の差
Section titled “例1:画面終値と公式値の差”AM 決済指数 Call、行使価格 5,100、乗数100。画面終値は 5,118ですが、翌朝の構成銘柄始値から公式値が 5,087.50になりました。
Call 決済額 = max(5,087.50 - 5,100, 0) × 100 = $0
画面では18ポイント ITMに見えてもゼロ決済です。最終取引後は、夜間・寄付きバスケットの差を取引で解消できません。
例2:Put の受取と実利益
Section titled “例2:Put の受取と実利益”PM 決済 Put、行使価格 5,000、乗数100、公式値 4,984.25:
Put 現金受取 = (5,000 - 4,984.25) × 100 = $1,575
Long が $4.20 × 100 = $420を払ったなら、手数料前利益は $1,575 - $420 = $1,155。Short は $1,575を支払います。
例3:現金決済バーティカル
Section titled “例3:現金決済バーティカル”Long 5,000 Callと Short 5,050 Call、共通公式値 5,080、乗数100なら:
- Long 受取:
(5,080 - 5,000) × 100 = $8,000。 - Short 支払:
(5,080 - 5,050) × 100 = $3,000。 - 純決済受取:
$5,000。
費用が $18.00 × 100 = $1,800なら純利益は $3,200。最大総幅は 50 × 100 = $5,000です。両レッグの乗数、満期、決済方法が同じことが前提です。
満期保有チェックリスト
Section titled “満期保有チェックリスト”- 正確なルートと満期シリーズを確認する。
- 公式行使・現金決済仕様を読む。
- AM/PM と最終値手法を記録する。
- 最終取引日時と満期を別々に記録する。
- 公式決済シンボル・公表元を確認する。
- 乗数で指数ポイントを現金換算する。
- レッグ別受払からプレミアム・費用を引く。
- 各行使価格上下の決済値をストレスする。
- スプレッド各レッグの決済方法を照合する。
- Short の不利な現金支払に十分な余力を持つ。
- ブローカーの計上・証拠金解放時刻を確認する。
- ETF、先物、画面終値を公式値とみなさない。
リスクと限界
Section titled “リスクと限界”- **決済ベーシス:**公式値と最後の指数値が大きく違う。
- **最終取引ギャップ:**入力判明前に取引不能になる。
- **寄付き分散:**構成銘柄が異なる時刻・価格で始まる。
- **参照混同:**指数、ETF、先物、決済シンボルは別物。
- **乗数・プレミアム誤り:**ポイントや総受取を利益と誤認する。
- **Short 現金支払:**証拠金圧力・強制決済が起こる。
- **シリーズ不一致:**満期・決済方式がレッグ間で異なる。
- **ピン・ギャップ:**行使価格付近の小差が決済を変える。
- **公表・修正・ブローカー時刻:**公式手順と口座反映がずれる。
- **税務:**商品、法域、投資家により異なる。
よくある誤解
Section titled “よくある誤解”- 「現金決済なら義務なし。」Short は大きな現金支払を負います。
- 「最後の指数値で決済。」契約の公式値を使います。
- 「AMなら金曜朝まで取引。」最終取引は早い場合があります。
- 「PMは通常終値そのもの。」公式手法が優先です。
- 「全指数オプションが同方式。」商品・シリーズで異なります。
- 「現金決済は必ずヨーロピアン型。」別条件です。
- 「$1,575受取は同額利益。」プレミアムと費用を引きます。
- 「スプレッド幅が常に純受取。」全幅を超えた場合だけで、費用もあります。
- 「ETFが指数を完全再現。」追跡、時間、配当、決済が異なります。
- 「株式受渡しなしなら満期リスクなし。」ベーシス、現金、証拠金、事務リスクがあります。